詩を吐くシンガー友川かずきが結構凄過ぎる件

僕が、友川かずきというシンガーを初めてみたのは、
確かHNKの歌番組だったと思います。

良く覚えてはいませんが、
ずいぶん以前のことだったと思いますが、
何かフォークソングの特集のようなもの
だったような気もします。

他の出演者は皆、
フォークソングの大御所的な
よく名前を聞く方々ばかりだったのですが、
その中にあって、友川かずきだけが、
何故ここに?このひと誰?
という感じで出演していました。

歌を唄う前に、
しばらく本人のトークがあったのですが、
東北の訛りを隠そうともせず、
伏し目がちで、いかにもこの場に自分が
ふさわしくないとでも言うように、
居心地悪そうにしていました。

根っからの酒好き、競輪好きらしく、
歌うときも酒を飲まないと歌えないと言った感じで、
その番組で歌った曲も競輪を題材とした
「夢のラップもういっちょ」という曲だったのですが、
その歌い方、曲調、歌詞すべてに衝撃を受けました。

その曲中には、
唾を吐きかけ見向きもされないような日常、
競輪場に群がる人々の情景、
というようなものが描かれていて、
何か計り知れない、生々しいリアルの感触
というようなものを感じ、
あまりにも甘く商業的な歌が蔓延している状況に
違和感を感じていた僕の心に、
ゴリゴリッと食い込んできました。

普段は眠っている自分の本質に
直接問いかけてくるような・・・

多分、友川かずきに対する評価は
真っ二つに分かれると思います。

好きか、嫌いか。

感じれるか、感じれないか。

僕はグラフィックデザイナーという仕事をやっていて、
バランスの取れたもの、美しいもの、
機能的なものなどが、とても好きなのですが、
いびつで、不条理で、反抗的なものに
惹かれる一面も確かに持っていて、
本当はそこが自分の本質なのではと
思うときもあります。

そして、その番組が終わった直後、
早速アマゾンで彼のベストアルバムを
購入してしまったのですが、
友川かずきの歌は、社会や生活に埋もれて、
“お利口さん”になってしまいそうなときに聞くと、
そんな自分の本質を見つめ直させてくれます。

人間、綺麗事ばかりではなく、
怒りや苦しみ、憎しみといった
ダークサイドの情念は必ず持っているし、
どちらかというとそれは、
動物的な本能に近い部分の感情で、
理性を伴った感情ではないのかも知れませんが、
そんな自分の中のドロドロした暗いものが、
何か行動を起こすための、もの凄い原動力になることも
確かにあると思っていて、その切れない刃物のような
力をどれだけ自分の成長に振り分けられるかが
物事を成功に導くために大事な要素の
ひとつたど思えたりもします。

いずれにせよ音楽というものは、
人の人生を左右するような影響力を持つことが、
十分にありうるということですね。

芸術全般についても、同じことが
言えるでしょうね。

でも、素晴らしい作品を残したアーティストが、
必ずしも商業的に成功しないというのも
悲しいことですね。

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